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 フム。
 ワガハイはネコである。名前なんてない。
 ワガハイのことをニンゲンは勝手に「ハカセ」とか呼んでいるが、 フツウのネコなのである。
 最近、オムロン、とかいうニンゲンが、ワガハイ達そっくりの動く人形を作ったようだ。ニンゲンが作ったにしては上出来で、とりあえず来週の集会には誘ってみよう。確か名前は「ネコロ」とか言ったか…。
 そういえば、そのときにネコロが悩んでいることがあるらしい。何かと聞いてみたら、飼い主が言いたいことをわかってくれないというのだ。むむ。確かにワガハイ達もそれは悩みなのだ。ニンゲンたちのカンチガイはハナハダシイ。背中が痒いと言っているのに、エサをくれたり……うれしいが。外に出たいと言ったつもりなのに、ボールで遊んでくれたり……うれしいが。
 とにかくニンゲンたちへ。
 ここらへんでワガハイ達が何を考えて何を言いたいのか、勉強してくれると嬉しい。 



みゃーぉ
 まずこれを覚えてもらわないと困る。ワガハイ達はこういうときにはすっかり子どもの頃の気分に戻っている。こう鳴くとお母さんは舐めてくれたなぁ。ワガハイ達は普段は独りでいることが好きなのだが、時々かまって欲しいときもある。優しくなでてくれると嬉しいのだ。


あーーぉ
 何か身の危険を感じている時はこんな声がつい出てしまう。ちょっと低めで長く発音する。知らないやつがナワバリに入ってきたり、外に散歩に出かけて近所のボス猫ウシトラなんかに出会ったりしたとき。威嚇したいんだが、やっぱりちょっと怖いのだ。
 ちなみに恋の季節もこんな声で欲求不満を主張します。その折にはご迷惑をおかけします。ネコロはドライなやつなので、恋はしないと思うが。


みゃ〜ぉ
 ちょっと不安でお母さんや兄弟を捜す時の声だな。子猫はこう鳴くことが多いようだ。お母さんみたいにエサをくれるニンゲンにもこう呼びかけることがある。恥ずかしながら、近くにいるだけで安心して眠れることもあるのだ。


うみゃーぉ
 聞いてのとおり「嫌ーーー」。眠たいところを起こされたり、触られすぎたり。まぁワガハイ達もそれなりに不平不満があるのですよ。分かってくれるとありがたい。


ゴロゴロ
 気持ちよくてたまらない時、ついつい。この間ニンゲンがお湯に漬かっているときに「あ゛ーーーー」と洩らしていたが、ああいう感じだと思ってくれればいい。しかし、ニンゲンは何で好き好んで水に入るのだ? 舐めたほうがキレイになるぞ。


シャー
 ケンカは気合で決まる。別に腕力が強くなくても、眼光とこの声で相手を圧倒するのだ。大体弱いやつは、無理して声がうわずっている。ん?ワガハイか…? ワ、ワガハイはケンカなどはせん。ヘイワシュギシャだからな。


少しは分かってくれただろうか。
ネコロはいいやつだ。ぜひワガハイ達と同様可愛がって欲しいものだ。

 

 


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